誤訳ってどういう事?

1月19日、20日と『コートなんか着ていられない構造見学会』を開催し、暖かさに驚く顔をたくさん見させていただきました。

 

普段にも増して有意義な見学会となりました。

 

ただ、その後、ご指摘をいただく事が何件かありましたので、説明をさせて頂ければと・・・

 

それは見学会終了後,、1/20に私がアップしたfacebookの投稿の文章の中に、

 

「・・・特殊な工法の見学の性質上、ご案内なしでは、誤訳の原因となり、

       ご迷惑をおかけする可能性があるとの判断のもとの決断で・・・」

 

という、言葉を入れたところ、その後お会いしたお客様に、「誤訳?どういう意味??」と確認をされました。

本当にしっかり読んでくれているのだな。と泣けてきます。

 

この「誤訳」ですが、本当に言葉通りの意味です。

 

見学に来られた方が、

『いまどきの一般的な新築の家』=『室温23℃、湿度45%の全館空調』と思ってしまったり、

『こんなカンジにすれば全館暖房なんてできるのね。』と表面だけを安易にマネてしまうことを防ぎたいのです。

 

どちらの方も、確実に不幸な家づくりをたどる事になりかねません。

 

というのも、まず以前ブログに書いた通り、全館空調を標準化している住宅建築会社はまだまだ少なく、そこに注力している建築会社と、そうでない建築会社の差は開くばかり。

そのせいか、低レベルな省エネ基準義務化ですら見送られることに・・・(詳しくはまた別の機会に)

 

「暖かい家」と表示していても、ガンガンに温度差があるという偽りだらけの家づくりが未だに横行しています。

体感までして頂いて、その差を言葉で伝えられないことは、その方を不幸にする原因を作ることになります。

ほとんどのご家族は、住み始めてから気付くのですから。思っていた暖かさじゃないと・・・

 

さらに、今回の見学会のように、エアコン1台で全館を暖めているのを見てしまうと、

「コレ写真撮ってけば、今頼んでる建築会社でもやってくれんじゃない?」的な

激烈チャレンジャーの方がいたりするようです。

何千万もかけて、賭けをすることはお勧めできません。依頼された建築会社が断る事を祈るばかりです。

 

この快適なエアコン暖房をするために、間取り、気密断熱計画、空気循環、機器選定、基礎の形状など様々な要素を絡み合わせて快適な空間をつくりあげていく訳です。単純そうに見えて、意外と奥深い。だからこそ簡単にマネできないし、全館空調をご提案できる住宅建築会社がまだまだ少ない理由です。

 

実際に、UA値やQ値が高い住宅をつくる事はカンタンです。

単純に断熱材を厚くすればいいのです。それで「数値」は良くできます。

しかし、住んで快適な計画をするためには、そうはいきません。

断熱材は何を使う?屋根と壁の断熱材の納まり(つながり)はどうする?そもそも誰が精度の高い施工をする?熱橋対策は?気密の確保は?壁内結露対策は?逆に夏への対策は?などなど。

あくまでも、「数値」は「計画」であり、机上で計算したモノです。

計算した性能を現実のモノにするためには、「施工」という壁が存在します。

 

私自身もたくさんのトップランナーの施工を見学させていただきましたが、施工精度が非常に高く、さらに細かな工夫とアイデア、経験から改善に改善を重ねて施工されています。感動します。その中から、シンプルに個別でオマージュできる部分と、構造的に見直さないとマネできない部分をしっかり見極めさせていただき、自社の強みと共生できる部分を取り入れさせていただきます。

 

逆に、仕上げがとても美しい設計士の現場に設置されていた床下エアコンを見て、「これはうまくいかないな。」と思ったものが、あとから聞いたら、案の定、温風が拡散しなかったということもあります。

 

余談ですが、床下エアコンも安易に床下に設置すればいいというものではありません。実績のある業者さんにお願いしましょう。

 

 

長くなりましたが、表面上、シンプルに作ってあるものほど、意外と奥深いものです。

見えている部分はごく一部、まるで氷山の一角です。

体感された方が、間違った認識を持たないように、しっかり道筋をご案内差し上げたいなぁ。

 

今回はちょっと、内容が重かったので、次回はライトな話題にしましょうね・・・

 

 

 

hiroyuki

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